恋愛LEVEL8 恋は純情MAXで 2

昇降口に入るとそこは新品の制服に身を包んでいる1年の黒だかりの山でごった返していた。自分たちの下駄箱の場所を探すだけでも一苦労だ。
「イチ。あっちに1年、って札がたってる。」
「おー。でかした！亨輔！」
イチの大きな手が亨輔の頭をぽんぽんと軽くたたく。頬を赤らめて亨輔は笑う。
「まぁな！」
親指を立てて、どうよ！って顔をする亨輔は、得意満面な表情をイチに向けるが「アホ。」と一言で済まされた。
人をかき分けて下駄箱までようやくたどり着いたが、今度は教室の場所が分からない。
「Ｃ組ってどこだ？」
靴を上履きに履き替えながらキョロキョロ周りを見渡す。今度はイチが壁に貼ってある教室の案内図を見つけた。Ｃ組を探すと２階の中央付近と記されていた。
「２階だな。」
後ろから着いてきた亨輔はイチの肩に腕をかける。背中に体重をかけより密着させる。
「あった？」
「ああ。っていうかお前、本当に重いんだよ！」
肩を揺さぶって亨輔をはがす。
「なんだよーー！せっかく久しぶりに会えたっつうのに！」
不貞腐れながらイチに抗議する。
「バカか！昨日あってんじゃねーか！行くぞ。」
すたすた歩くイチの後ろ姿を見つめながら亨輔はうなだれる。
―俺にとったら１日は何年にも匹敵するんだよ。ばかイチ。
そんな亨輔の心中を知るはずものないイチはついてこない亨輔を振り返る。
「おい！置いてくぞ！」
「待てって！」
亨輔はイチの背中めがけて飛び着く。バランスを崩しそうになったイチは盛大に亨輔を怒鳴る羽目となる。
「だから、重いって言ってんだ！！！！」
怒鳴られた亨輔は嬉しそうに大笑いをし、それでもイチの背中から離れようとはしない。
まるで大型犬が飼い主に甘えたくて仕方がないといった風景だ。
イチにしてみれば重たいは熱いわでいいことないが、それでも嫌な感情はなかった。
ただそこには亨輔がイチに感じるような感情はない。イチにしてみれば亨輔は一番大事な親友なのだから。

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