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佳之のクラスは要の隣のA組だ。体育は合同授業の組み合わせとなる。
その日の体育のバスケの試合中の事だ。
佳之のチームは早々負けてしまい壁にもたれ試合を観戦していた。A組の最後に残ったチームは大野と中野がいるチームに1ゴール差で負けてしまった。
決勝で要のチームと大野のがいるチームとの試合となった。事故はその試合で起こった。
要と大野の衝突だ。
要がドリブルでボールを運んでいる時大野が要のボールをカットしようとして激突した。
そのまま二人は床に叩きつけられ倒れ込んだ。生徒達はわらわらと駆け寄る。
佳之は倒れた要に駆け寄る生徒の壁をかきわけて小さく呻く要の傍らに着く。
「涼川!」と呼ぶが返事がない。安部川先生が保健委員に「タンカだ!タンカ!」と叫び傍らにいる佳之をどかした。要はタンカで運ばれ大野は安部川先生にお姫様抱っこで保健室まで運ばれて行った。
残された生徒達は今の事故の話題で持ち切りになった。佳之はそんな話より要の事が気が気じゃなかった。
試合前の大事な体で要の努力が無駄にならない為にも大事に至らないでほしいと願うばかりだった。
程なくして安部川先生が戻ってきて二人の容態を説明した。
「二人だが軽い脳震盪らしい。ただ涼川は捻挫しているみたいだ。これから病院にいくから、おい中野。二人の荷物を保健室へ持って行ってやれ。」
中野は「了解!」と言って走り出す。佳之は歩みでる。
「先生。涼川はひどいんですか?」
心配そうに見つめる佳之に視線をむける。
「先生が言うには軽い捻挫だそうだ。」
とりあえず胸をなでおろす佳之だった。
「じゃ、田辺先生に報告に行くから。後は軽く柔軟して終了してくれ。日直!よろしくな。」
といって安部川先生は体育館を後にした。
言われたとおりに皆が動くわけもなくだらだらと残り数分を過ごしていく。
チャイムと同時に佳之は走りだした。途中何人かの生徒にぶつかりながらも保健室へたどり着く。
ドアをノックし中の返事を聞くより先にドアをあけた。
「すみません!涼川は!?」
保健の先生は振り向き佳之に視線を向ける。
「あら、たった今帰ったわよ。」
佳之は額に汗をかき息使いも荒い。呼吸を調え深呼吸をする。
「あ、あの、捻挫ってひどいですか?!」
必死な形相に先生はびっくりしながらも答えた。
「まぁ、歩けるぐらいだし全治1週間くらいかな。」
君こそ平気?と逆に心配されてしまったほど呼吸が乱れ切っていた。
深呼吸を何回か繰り返しやっと普通に話せるほどだった。
御礼をいい教室へ向かった。佳之の脳裏を一瞬嫌な気配が通り過ぎた。
-大野と一緒に行ったんだろうか。
チクン。
小さな針で何箇所も刺されたような痛みを感じ、廊下の真ん中で足を止めた。
刺されたような痛みはすぐに消えた。自分の胸に手をあててみる。別に痛いところはない。
何だかわからないまま再び歩き始めた。足取りも重く佳之は自分の教室を目指した。
ホームルームの事は全く頭になかった。
教室に着いた時に自分が開けようとしたドアが勝手開いたことに驚いた。中からはクラスメイトがゾロゾロと出てきた。
「おぅ、家蔵どこ行ってたんだよ。もう終わりだぜ。」
「あはは…。」
苦笑いしながら教室に入る。教室内で何人かにすれ違い様に同じような事を言われ苦笑いで答えた。
-何やってんだ俺は。
誰もいなくなった教室でジャージのまま自分の机の側に立ち、帰り支度をする。
-部活行かなきゃ。涼川はいないし…。
とたん机の上に置いたスポーツバックの上に点々と後がつく。
-なに、涙?俺、泣いてる?
目頭に手を当てて拭ってみると、そこには雫がついてきた。。
自分自身が一番驚いていた。何で泣いているのかわからなかった。
拭っても拭ってもとめどなく溢れてくる。
佳之は拭うのをやめた。スポーツバックの上におかれた両手の甲に新たな雫がぽつぽつと落ちる。そのまま泣き続けいつしか鳴咽まじりになった。
夕日は佳之を包み込む羽衣のように差し込み周りを薄い黄金色一色に染め上げていた。←ランキング参加中!お蔭様でランキング上昇中!ありがとうございます!
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日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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