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書店を後にしたイチと幸哉はいつものファミレスに来ていた。
なんとかそこまで持ちこたえた幸哉を促し席に着いたイチは手っ取り早く食事をオーダーした。
幸哉はイチに話しかけられるまま頷くだけだった。
「ドリンク取ってくるから、ウーロン茶でいいよな?」
「はい…。」
幸哉は俯いたままだった。イチは立ち上がりドリンクを取りに行く。
-アイツは無防備すぎるな。ほんとに。
ドリンクを持ちながら幸哉の席を眺めた。
-ガキのくせにめちゃくちゃ色気オーラが出てて参る。淕さんに釘さされててよかったよ。俺。
こんな事を思いながらイチは再び席に着いた。
「ほら、飲め。」
親切にもイチは幸哉のグラスにストローを指す。
「で、今日はどうした?」
タバコに火をつけながらイチは聞いた。幸哉はゆっくりと顔を上げた。散々泣いた後が頬についていた。
イチはこの濡れそぼった仔犬のような瞳をなんともいえない気持ちで眺めた。
「で?」話を促す。躊躇いながらもぽつぽつと話し始めた。
「今日、要が…女の人と…、腕を組んで…歩いてたんです…。」
イチはまさか…と思った。頭の片隅に必ず消えては現れる一人の女。
「大野、その女って結構背が小さくて舌足らずな、でもハキハキしゃべる感じじゃなかったか?」
幸哉はハッとなり顔をあげた。
「そうです!!何で判るんですか!?」
しょぼくれていた仔犬が餌に在りついた時のように身を乗り出した。イチは舌打ちをする。
「知ってるも何もそいつは」
「あら、珍しい!イチ君じゃない!」
イチの言葉をさえぎった声はどこかで聞き覚えのある気がした。
声の方向へ視線を向けるとそこには要の姿があった。目に飛び込んできた要の傍らにはその声の主が腕をつまんでたっていた。要自身もまさか幸哉がここで、しかも本屋のバイトと一緒にいるとは思いもよらなかったに違いない。嫉妬に満ちた視線は幸哉に容赦なく注がれていた。
「幸哉、何してるんだ?」
要のイラツいた声がは幸哉の心をえぐった。幸哉は要から視線をそらし、ソファーから立ち上がり顔を見ずに横を通り過ぎようとした。
要がそれをさせないことくらい幸哉には判っていたがそうしなければならない自分がいた。
案の定要は幸哉の腕をつかんだ。
「幸哉!」
俯いたままの幸哉は一言も話さず、要の顔も見ずに強引に腕を振り払い扉へ向かっていった。
驚いたのはその場にいたイチや要に原因の女性 望だった。イチは腰を浮かし幸哉が走っていった方向に視線を向けた。
「オイ!大野!!」
イチの制止の声を聞かずファミレスを飛び出した。要はイチを一瞥し幸哉を追いかけようと視線を扉へ向けた。一瞬動きがとまる。望がいるからだ。
まさかこのバイトと一緒にいさせるわけには行かないと思ったが、今は幸哉の方が大事だった。
「望、ちょっとまっててくれ!」
と言って幸哉の後を追いかける様にファミレスを飛び出した。←ランキング参加中!ぜひポチっとお願いします!
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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