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授業の開始になんとか間に合った幸哉は昨日の智弘の状態になっていた。
一難去ってまた一難とはこの事だ・・・。
生徒達は少し慌てながら下駄箱から姿を消していた。一人ずるずると階段を這い上がるように進んでいた幸哉はただ歩いているだけだった。
智弘は久しぶりに部活で汗をかいて随分元気になっていた。幸哉よりも先に席に着いていた智弘は机でいつものようにおにぎりを頬張っていた。
ようやく席について幸哉はがたがたと椅子を引きパタンと席に落ちた。
隣の席の椅子ががたがたと引かれ、その音に気付いた智弘が横を向く。
要に殴られた後を隠した顎の下の湿布は張ったままだった。
「よぉー!、大野…?」
朝あった時の幸哉の様子とまったく違う事に気がついた。瞬きをほとんどせず虚空を見つめていた。
「大野?」
幸哉の目の前に手をひらひらさせる。幸哉は中野の呼びかけと目の前の掌によって覚醒した。
「大野、大丈夫か?」
虚ろなどこを見ているかわからない瞳は中野を見てはいなかった。
「どうした?なんかあったのか?」
中野は自分の事にように大野の状態を心配した。幸哉はまるで油が切れたロボットのように動きがたどたどしい。
「別に何もない。」
義務感から答えたような口調だ。幸哉はそのまま黒板へ視線を向けた。真摯な瞳を向けた智弘は様子のおかしい幸哉にさらに話しかける。
「涼川…か?」
瞬間幸哉の体がビクッと震えた。『涼川』という単語は幸哉にとってとても意味のある単語だ。
-ダメだ。悟られたら。
動きが鈍くなった頭をフル回転させ考える。ぎこちないとは判っていても無理やり笑顔を作る。
「違う、から。ごめん。大丈夫。」
智弘は懸命に泣くのを堪えている幸哉の瞳に何かを感じた。
「何かあったら言ってくれ。できる事は何でもするから。」なっ?といって幸哉の肩をポンポンと叩いた。
智弘に叩かれた肩はすーっと幸哉の中に入ってきた。
幸哉は素直に「あぁ。」と首を縦に振った。
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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