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駅前はまだ人通りがあり走って追いつくには結構きつかった。幸哉は身長がそんなに高くない。見つけるのが大変なのだ。
それでも要が見つけられないはずがない。50m程先を走る幸哉の姿を見つける。
「幸哉!!」
思わず叫んだ。家路を急ぐ人たちは何事かと要を振り返る。そんな視線は今の要の眼中にあるはずがない。一瞬立ち止まり振り向いた幸哉の頬には涙が伝っていた。
要の姿を確認した幸哉は踵を返し、張り裂けそうな気持ちを抱えながら幸哉は走った。
確かめなきゃ行けないのに、それをするだけの勇気がなくて逃げている。
二人の間には人の波という壁が幾重にも重なり邪魔をしていた。要は人の波を掻き分けながら走る。
徐々に縮まる距離は幸哉の感情を頑なにしていった。人の波が切れた時幸哉が桜池公園の中に入って行くのが見えた。あせる気持ちと嫉妬とが入り混じった要の気持ちは幸哉を捕まえることだけに集中していった。
夜になっても分厚い雲に覆われ月の明かりが恋しいほどだった。池の周りの砂利道を幸哉は全力で走る。その音が今日はやけに大きく聞こえた。その後を追うように要が走って追いついてくる。
「幸!!」
呼び声で幸哉は止まりそうになる。
今は要を見たくない。誰かに優しく微笑んでいる要を見ていたくない。
幸哉の心臓は悲鳴を上げていた。
桜池の中ほどで幸哉は追いついた要に腕をつかまれた。その反動で要の胸の中に引き寄せられる。掴まれた腕を容赦なく振り解くこうと胸の中で暴れる。それでも振りほどけずに幸哉の瞳からはいくつも涙が溢れ出ていた。
「幸哉!!なんであいつといるんだ!?」
激しい嫉妬の感情が要から噴出す。掴まれている腕をとにかく振りほどこうと幸哉は暴れた。
「幸哉!」
そのまま力づくで抱きしめられた幸哉は体をよじりながら嗚咽と共に感情を吐き出した。
「ふざけんな!俺じゃなくてもいいくせに!!」
吐き出した感情はそのまま要と自分を傷つけた。鎖で締め付けられる痛さは呼吸の乱れと嗚咽とでぐちゃぐちゃになっていく。
俯いたままの幸哉の顎を強引に掴みキスをした。幸哉はギュッと目をつむり唇を硬く閉ざした。自由になった腕で要を力一杯突き飛ばした。体制を崩した要は幸哉の思いもかけない行動に嫉妬の怒りと拒絶とで逃げようとする幸哉の腕を強くつかんだ。掴まれた腕はさっきよりもきつくそして激情を感じた。
そしてそのまま砂利を蹴散らしながら大桜の休憩所まで幸哉を引きずっていく。
「離せ!!痛い!!」
そんな悲痛な声を上げる幸哉を無視して要は怒りの炎を揺らめかせながら引きずる。
休憩所は低い木製の壁で覆われ、その壁に沿って同じ素材でベンチが作りつけられている。
そのベンチに幸哉を放り投げる。ドカッと鈍い音を立てて幸哉はベンチに転がった。
「ヤダ!!!」
幸哉は飛び上がろうとした所を要が上から押さえつけた。拒絶された痛みは要の感情へ大きな傷となっていた。
キスをしようと顔近づけた要の顔を隠すように両手で押しのける。大粒の涙を流しながら幸哉は抵抗した。
「ふざけんな!!!」
「幸哉!!」
怒鳴られ、両手を押さえつけられた悔しさと、二度と見たくなかった要とあの人の姿への気持ちが溢れて大粒の涙となって頬を伝ったていく。
「泣かないでくれ、幸…。」
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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