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母屋をでて幸哉が見上げていた星空を要も見上げた。
―不思議なもんだ。昔はこんな空、毎日見てたがなんとも思わなかった。
ただ空があるだけだって。
だけど今は・・・。
瞬きながら暗闇を彩る星の隙間を縫うように星が流れた。
「流れ星だ・・・。」
星が流れるように要の瞳から一滴流れ落ちる。そんな自分に驚いた。瞳に手の甲をあててみる。
「アハハ・・・、涙なんか何年ぶりだ・・・。」
『夜はいつでもそこにある。開放された気持ちは天に昇り星になる。叶えば流れ落ちる』
昔、ロマンチストの祖父が言っていた言葉を思い出した。
「俺は、自分で叶えに行く。」
要は何年かぶりに流した涙を楽しむように夜空を見上げていた。
夜中にふと幸哉は目が覚めた。暗い部屋の中に目を懲らしてみる。
「要?」
呼んでみるが幸哉の声が反響するだけだ。キョロキョロと見渡してみても人影がない。それよりも幸哉は自分に服が着せられている事に気がついた。
「要がやってくれたんだ・・・。でも、どこいったんだろ・・・。」
布団は綺麗なままだ。幸哉は立ち上がろうとした。が足腰に力がうまく入らず鈍い痛みとだるさを感じた。声にならない呻きは部屋に響いた。
「マジですか・・・!」
壁まで四つん這いでづりづりとはいづりながらたどり着き壁に捕まりながらゆっくりと立ち上がる。
そのまま玄関に向かった。なんとか靴を引っ掛けて玄関の扉を開ける。
そこにはさっき見た星空よりもはるかに数多くの星たちが瞬いていた。その視線の先にその空を仰ぎ見る要がいた。
幸哉は立ち尽くす。
―要が泣いてる・・・。
そう思った瞬間自分の抱えている痛みなどどこかにいってしまった気がした。
「要!」
叫び声と共に引っ掛けた靴を前に出したが、やはり体が言うことを効かずそのまま前につんのめる。
要は幸哉の声に気付いて振り向いた。そんなに離れていなかった要は幸哉を抱き抱えようとしたが結局一緒になって転んでしまった。
「てて・・・。幸、大丈夫か?」
盛大に砂利の上に二人で転んだが幸哉は要の胸で受け止められた。
幸哉は要の両頬を包み唇を重ねた。すぐ離して両腕で抱きしめる。突然の行動に要は驚く。
「幸、どうした?」
うずくまっていた幸哉は顔をヒョコッと上げる。
「要が泣いてたから・・・。」
と言って要の目元の涙の後を指でなぞった。
「あっ・・・。」
幸哉は心配そうに覗き込む。要は幸哉のその瞳を見つめて小さくため息をつく。
「まったく、お前は・・・。かなわないなぁ~。これ以上俺を惚れさせてどうするつもりだ。」
そういって抱きしめる。
「幸哉。」
「何?」
「そろそろどいてくれ」
「あっ・・・。ごめん・・・。」
幸哉はそろそろと要の上からどいた。その動きが余りにもたどたどしい事に要は気がついた。
「幸?動きが変だ。」
幸哉は半ベソをかきながらごにょごにょと話した。
「足腰が重たいと言うか、痛いというかなんだかとても変・・・。」
座りなおした要は幸哉をお姫様抱っこをする。
「か、要!歩けるよ!」
「だめだ。俺が連れて行く。」
胸元に収容された幸哉はそのまま部屋に連れられ布団に寝かされた。
「あ、ありがとう。要。」
「どういたしまして。お姫様。」
そう言って要は寝かされた幸哉の隣に寝転び、横向きに幸哉を抱きしめる。要の吐息が耳にかかりくすぐったさに肩を竦める。
「要…。」
小声で呼んだ幸哉の耳にキスをしながら答える。
「ん?」
何度もキスを浴びせる。
「要。」
「何?」
「要。」
「何だよ?」
くすくすと笑う。
「ずっと呼んでいたいなって思ったんだ。」
クルリと向きを変えて向き合う。
「要。」
「あぁ。」
「愛してる…。」
そう言って幸哉は唇に重ねた。
深い深いその口づけに二人の思いが夜の闇に溶け天に昇った。
それは一筋の流れ星になり叶えられた願いになった。
恋愛LEVEL5 恋が愛に変わる時 Fin
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日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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