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砂利道を蹴飛ばしながら走る幸哉は要が追いかけてく来てくれるんじゃないかと密かに思っていた。途中何度か振り返ってみたけど足音すら聞こえてこない。
「要のばか・・・。」
ポツリと呟いてみる。一言呟いたら後から後から湧き出てきた。
「何だよ。俺のこと好きとか言うくせに全然優しく無いじゃん。」
夏の林からは虫の声がひっきりなしに聞こえてくる。その音に混ざって幸哉のぼやきは流れていく。
「部活が終わった後とか会いたいて思ったら連絡くれるんじゃないのかよ・・・。」
どんどん気持ちがエスカレートして結局自分は要に傍にいてほしかったんだと気がついた。
その思いは心の奥底に沈んでいた感情がマグマのようにゆっくりと確実に膨らんでくる。
「ばかやろぅ・・・。なんでこんなに会いたくなっちゃうんだよ・・・。要・・・。」
突然幸哉の目の前が真っ暗になった。追いかけてきた要の手によって目隠しをされた。その大きくて細いきれいな指はいつも自分を掴み上げてくれる手だ。背中の重みはいつも自分を守ってくれる体温だ。そして・・・。
「幸・・・。」
この声はいつも自分を大事にしてくれる声だ。荒い息遣いは自分を追いかけてくれてきた要の最大の愛情だ。
「ごめん。」
呼吸をする度に幸哉の耳元と首筋に要の吐息がかかる。
目隠ししている手はいつもと違う。熱い。本当は自分のわがままだって事くらいわかっていた。
その手を小さな幸哉の手が包み幸哉の唇に触れる。その白くて長い指に何度も幸哉はキスをした。
「幸、こっち向いて。」
握っていた手をはずして俯きながら要の方を向く。そして要は幸哉をそっと抱きしめた。体を重ねると要の体温は熱い。
「中野から聞いた、誕生日の事。」
体が一瞬震える。そんなつもりだったけど、でも今はもう要がいるだけでって。思ってたから・・・。
「今日、その話をしようとしてた。」
「えっ。」
顔上げた幸哉は驚いた。まさか考えてくれているとは思ってもいなかった。
「母親の実家が伊豆で海の家をやってる。バイトがてら行ってこいといわれたんだ。俺は真っ平ごめんだったが、そこの夕日が綺麗で一度幸に見せたいと思ってた。」
だから、と言って要は幸哉の腰に手を回してゆっくりと体を引き寄せる。いやでも要の厚い胸板にうずくまる形になる。熱い体温と要の芳香は幸哉の体の心を疼かせていく。
「誕生日に一緒に行かないか?海に。」
「えっ?」
「1泊2日で。」
「ホントに?」
「バイトしなきゃなんないけど。いいか?」
「行く!」
幸哉は自分が一人で怒って拗ねていた事を後悔した。要はちゃんと考えていてくれた。うずくまっていた顔を要にむける。そしてご主人様に大好物をもらえた仔犬のように喜びを全身で表現する。
「うれしい!要。」
要に回している腕に力をこめて抱きつき満面の笑顔で要を見つめた。
―こいつのこの笑顔はヤバイ・・・。と思った時には要の唇は幸哉の唇を塞いでいた。
蒸せ返る7月の夜は二人の気持ちを余計に熱くさせた。
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恋愛LEVEL5 恋が愛に変わる時 7 へGO!
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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