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いつものように書店近くのファミレスにいつもの場所に陣取った。珍しくイチは「くうぞー!」とも「おごれー!」とも「ハンバーグ!」とも言わずただドリンクバーだけを取っていた。
さっきのことで怒っているのかなぁ~とそんな事を思いつつ話を切り出した。
「あの・・・いいですか?」上の空のイチは幸哉に話しかけられて我に戻った。
「ん?おう。悪いな。で、どうしたって?」
タバコに火をつけながら吸い込んだ。
「イチ先輩・・・。もしかして、デートの約束とかあります?さっき店長いたし・・・。」
上目遣いで見つめている幸哉の瞳にイチは申し訳なさも感じつつそれでも、ソワソワする気持ちを隠す事ができなかった。
「あははは・・・。悪い・・・。待ち合わせてるんだ。実は・・・。」
深いため息をついて幸哉はソファーに座りなおした。
「イチ先輩もですか・・・。」
周りの恋人同士のラブ度の高さにげんなりしながらグラスに並々と注がれたコーラを飲み幸哉はため息をついた。
「イチ先輩。もう大丈夫です。俺、帰ります。」
幸哉のこの申し出に一瞬喜んでしまったイチだが、ここはやはり幸哉の悩みを解消してやりたいと思ったことも事実だった。
「いいんだ、俺は。大野の話を聞く位の時間はあるぞ。」
くすりと幸哉は笑う。
「そうは言っても、イチ先輩さっきから上の空でソワソワしっ放しなんですよ?気付いてましたか?」
そういわれて初めてイチは気がついた。思わず苦笑いを浮かべる。
「ごめんな。こんなつもりじゃないだが・・・。」
作り笑顔でにっこり笑う幸哉にイチは良心の呵責にチクリと痛んだ。
「まじで聞くぞ!話!」
身を乗り出して幸哉に詰め寄った。
「本当にいいですって。自分でなんとかしますよ。でましょ?」
といって立ち上がった。伝票を片手に幸哉はスタスタをレジに歩いていく。その後を追うようにイチも立ち上がった。
「俺がおごる!」
幸哉はにこりと笑ってイチに伝票を手渡した。「コノ!」と幸哉の頭に鉄拳チョップを喰らわした。
幸哉は舌をペロっと出し「ごちそうさま。」といってファミレスの扉をくぐった。
会計を済ませたイチは苦笑いを幸哉に向けた。
「ごめんな!ほんと。次回は必ず相談に乗る。いや乗らせてもらう!」
ポケットに両手を突っ込みながら幸哉は満面の笑みを向けた。
「いいですよ、本当に。おごってもらっちゃいましたし。それにまたあるんじゃ困ります。じゃ、またあさって。店長にもよろしく伝えてくださいね!」
肘で幸哉に小突かれて思わず顔がほころんでしまった。
「からかうな!」
といって幸哉の頭をわしわしとなでる。
「気をつけて帰れよ。」
幸哉に背中を向けながらイチはゆっくりとそれでいて足早に去っていった。
「さてと・・・。」
独り言を呟きながら幸哉は自分の帰る方向へ体をむけた。傍に人がいない事がこんなに寂しいと初めて思ったかもしれない。7月の夜はもうだいぶ熱くじっとしていても汗ばんでくる。
足元に転がっている小石をみつけて幸哉は軽く蹴飛ばした。ころころと車道とは反対側に転がりビルの壁にぶつかって弾き飛ばされた。
そこに初めて人が立っている事に気づいて顔上げた。幸哉の瞳はそのまま動かなくなる。
立ち止まっている人影は不機嫌な声で言い放った。
「まったく、お前は何度言えばわかるんだ。」
聞きなれたその声は今一番会いたかった人だ。
「要!」
思わず飛びついた幸哉は確実に抱きしめてもらえると思っていた。ところがそれは予想に反した結果になった。
「なんでアイツに頭を触らせてるんだ?」
幸哉は抱きついた要の腕が自分に回されていない事に気がついた。イチが幸哉の頭をわしわしとなでた所を目撃したらしく最悪に機嫌が悪くなっていた。眉間の皺もさることながら目が冴え冴えとイラツいていた。←ランキング参加中!気にって下さったらポチっとよろしくです!O(^ー^)oエイッ!
恋愛LEVEL5 恋が愛に変わる時 4 へGO!
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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