恋愛LEVEL1 恋は叶える為にある ３

入学式から一ヶ月がたった。
クラスにもだいぶ慣れてきて幸哉にも何人か友達と呼べる仲間ができた。
何事もなく無難な毎日を送っていた。ある一人の生徒の仲を除けば。
「大野、おっはよー！」
ある意味クラスのムードメーカ的存在になりつつあるが、必要以上に暑苦しいため女子からの人気は低かった。
「うぃ～っす。毎日朝から元気だな…。」
　無駄に。中野はそんな幸哉の言葉に動じず席に着く。
「朝練やってると元気になんだよ。」
　と言いながらおにぎりを頬ばる。これが毎朝の日課だ。
中野はサッカー部に所属している。2年になり先輩と呼ばれることが嬉しいらしくせっせと出席している。
「大野、今日お前バイトだよな？頼みあんだけど」
中野は大きなおにぎりをもぐもぐ頬張り具をみて喜ぶ。
「おっ、今日は鮭だ。」ニコニコしながら話しをつづける。
「今日、“SoccerFan特別編集”の発売日でお前ン所で予約してるんだよ。だけど部活で取りに行けないからさ、頼む！取って来てくれよ～」
　中野は手を合わせて拝み倒す。幸哉は「仕方がない」といいながらニヤリと笑う。
「いいよ。今日の昼飯、購買の炭火焼チャーシュースペシャルサンドで手を打ちましょう。」
「えー！マジかよ！」
「別に嫌ならいいんだぞ。俺をパシリに使おうなんざ１００年早いっつうの。」
　中野は頬膨らませ仕方なく了解した。
「ち。しゃーない。それじゃそれでたのんます。ただし！」
　中野は幸哉の顔の前で人差し指をだして付け加える。
「俺んちまで配達な。」
　今度は幸哉の口が膨らんだ。
「げっ！マジかよ！バイトおわんの８時だぜ！チャースペサンドだけじゃ割りにあわねーよ！」
「うひひひ。俺から昼飯代せしめようとした罰だ！」
　じゃ、頼んだ！笑いながら体の向きを変えた。
クラスメイトはあらかた席に着いていた。
椅子を引く音がしたため視線をむける。そこには涼川が席につこうとしていた。
「涼川、おっす。」
中野がいつもの通り挨拶をする。涼川は顔を見て確認するように挨拶をする。
「おはよう。」
　何事もなかったかの様に鞄の中を机に写していた。
幸哉は何気なくその仕草を見ていた。視線を感じたのか涼川が振り向いた。
「何？」
　幸哉は突然振り向いた涼川にびっくりする。
「あっ…、おはよ。」
　あせって挨拶をする。そんな幸哉の様子にも動じず要は挨拶をする。
「おはよう。」
　要は本を取り出して読み出した。
予鈴がなる。しばらくして教室の前の扉が開き担任が入って来た。
「朝礼はじめるぞ。」
皆ががたがたと席につく。幸哉は涼川の横顔を横目でみた。
教室に差し込む光が涼川の髪を照らす。少し短めの髪が風になびきサラサラと流れていた。 

 ←ランキング参加中！愛すべき男の子達に愛の手を！

恋愛LEVEL1　恋は叶える為にある　４ へＧＯ！