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要は校門を見つめていた。もしかしたら幸哉が通るかもしれないと思っていたからだ。
弓を構えて集中し始めたとき、要の視線の端に幸哉を見つけた。
この矢が幸哉の胸を射抜ければいいのにと思う。
―教室で幸哉が中野と夜会う事を聞いた時要の中で何かがピシッと音を立てた。
その時にはもう気持ちの冷静さはなくなっていた。
幸哉が誰かと楽しげに話している姿を見るのも最近では苦痛になっていた。
そんな時に限って聞きたくない会話が聞こえてきたりする。
今日のバイト終了後の中野と待ち合わせるとの事だ。
阻止する事も出来るはずもない。最初に会った時、携帯の事を指摘されその時は
『何だ、コイツ?』と思っていた。
そんな感情を持っていた要だったが幸哉のちょっとした行動が要の恋へと導いたのだ。
要はいつも通り教室の窓際で外を眺めていた。ちょうどその下を幸哉がズボンのポケットに
両手をつっこみ少しスキップ気味に飛び跳ねていた。
少し茶色がかった髪は無造作な感じでまとめ上げられ跳びはねるたびにサラサラと髪も
跳びはねる。細い感じの瞳は切れ長ではないがバランスよく配置され満面の笑みで
ほころんでいた。キラキラと光る幸哉の笑い顔が要のハートを鷲づかみにしてしまった。
カワイイと心底思った。少しでもその幸哉を見ていたくて瞬きも惜しむくらい見続けた。
やがて幸哉は校舎の影に隠れてしまった。
視界から消えてしまった幸哉を探そうと消えた場所を食い入るように要はみていた。
しばらくして上機嫌の幸哉は教室に現れた。幸哉は満面の笑みで席についた。
中野は幸哉のその笑みの理由を聞いて一緒になって喜んだ。
「おっ。100円じゃん♪ラッキー!ジュース飲もうぜ!」
幸哉は中野の笑みに釘を指す。
「あほか!ジュースはおれの物なの!誰にもやらん!」
とさらにニコニコしていた笑みに拍車がかかる。中野はちぇっといって席をはずした。
幸哉は鼻歌まじりに百円をズボンのポッケにしまう。そんな様子を要はドキドキしながらみていた。
幸哉は要に見られていたことに気付き小さく咳払いをした。
要は目線をそらし少し冷静になったところでいつも通りの悪態をつく。
「大野は単純だね。」
本当はそんな言い方をするつもりはなかったが他の言葉ではさっき感じたドキドキが余計な言葉と
なってこぼれてしまいそうだったからだ。
幸哉はむすっとしながら「ほっとけ!」といって椅子を少し後ろに倒してかたかたと揺らして100円を拾った余韻に浸っていた。
そんな幸哉をみて要は気が付いた。幸哉の行動一つ一つが望に似てるんだという事に。
その気持ちに気付いてしまった要は一気に加速していった。
それからも要は幸哉に対するちょっかいをやめなかった。
ちょっかいを出すたび幸哉はムクれたり怒ったりした。だけどどこかで歪みがあることに気がついた。
何ともいえないもやもや感が要の中にくすぶり塊になっていた。幸哉は良く笑う。
中野のようにガハガハ笑うわけではなく本当に楽しそうに笑う。
その笑顔が他人に向けられている事がすでに許せなかった。いわゆる世間一般にいう“嫉妬”と言う感情だ。
要はその気持ちがたまりにたまり、教室での出来事となった。
幸哉の鞄の中身ばら撒き事件は偶然の産物だったが要にとってこれは一気に繋がりをもたせるチャンスだと思った。
強引に迫った事で余計に幸哉が自分から離れてしまうリスクはあったがどうすることもできなかった。だからといって今更、仲良くなりませんか?などと言えるわけがなかった。
結局強引に迫ったことで幸哉に『付き合う』と言わせる事ができ満足だった。
泣かせてしまったのは誤算だったが。教室を出た後、要は少し外れた所から幸哉の様子を見ていたのだ。
要は以前幸哉に教えてもらったアドレスに自分の携帯番号を入力し送信した。
幸哉の様子を見ることなく要はその場をはなれた。
メールをみた幸哉がどんな様子だったか知りたかったが時間がそれを許さなかった。
結局、幸哉からの返信は部活が始まるまではなかった。もし部活が終わってもなかったら・・・。
要の頭の中にはあるシナリオがすでに出来上がっていた。
それを現実にする為に念を込め集中する。放たれた矢は邪念と共に空間を切り裂いてザクッと見事、中心に刺さった。周りからは感嘆のため息が聞こえてくる。

日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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