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BL妄想モード勃発中! トキメキMAXで、随時更新中! 甘く切なく艶めいていく男の子達を ぜひ見てやってください! ~BL(ボーイズラブ)に嫌悪を抱く方の閲覧はご遠慮ください。18禁です。
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幸哉は今日のバイトを休みたかった。
このままの顔でいくとバイトの先輩、イチにからかわれる事がわかっていたからだ。
イチは元桜池高校の卒業生だ。幸哉のバイトの面接の時にいろいろと世話を焼いた。と本人はいっている。
幸哉もこの先輩のことが好きだったが何かとからかう癖が嫌だった。
何時だったか幸哉が中学の時の同級生女子に書店で話しかけられたのをみて散々彼女なのか?としつこく聞いて挙句の果てに自分に紹介しろとかお前にはもったいないとか勝手に言っていた。

今日の幸哉をみたらどうな事を言われるかたまったもんのではない。
それでも渋々、幸哉はバイトへ向かっていた。
書店の自動ドアをくぐり混みだした店内を見渡す。イチの姿が見当たらない。
ホッと小さなため息をついて、縮めていた体を元に戻す。
その時肩をポンポンと叩かれた幸哉は無防備なまま振り向いた。柔らかい幸哉の頬に指が突き刺さる。

「今時こんな古典的なギャグに引っかかるやつも珍しいよな。」

見ればしたり顔のイチがいた。振り向いた幸哉の顔がいつもと違う様子に驚いた。

どんよりとした風貌は明らかに冗談で済まされるような雰囲気ではなかった。が、イチはついつい口をついて出てしまう。

「大野、なんだその顔は?女にでも振られたか?それで泣いちゃったのか?ん?」

そんな言葉を聞いた幸哉は女の子に振られた方がなんぼかましだと思った。
イチの言葉にさらに傷ついたフリをして下から恨めしげに覘き上げた。

「イチ先輩、俺今日とぉってもブルーなんです。いじめられると泣きますよ。」

いいですね?と念をおす。イチは幸哉の回りに暗雲が立ち込めているのを察知し思わず飛びのいた。今日、からかうのはやめておいたほうがいいという結論に達し仕事に戻った。

きっと今日の幸哉の仕事ぶりを店長が見ていたら泣いて喜ぶだろう。というくらい仕事と名の付くものは片っ端から片付けていた。
イチがやるはずの伝票整理、イチがやるはずの発注業務、イチがやるはずのクレーム処理、イチがやるはずの…あげたらキリがないほどた。
普段の幸哉なら冷たい視線をイチに向けながらイヤミの一つでも言ってるはずなのに今日の幸哉にそれはなかった。
何でもいいから時間に隙間を作らないようにしているようにもイチには見えていた。
7時を回りそろそろお客が減り始める頃だった。
店内には雑誌コーナーに幾人かと文庫コーナーと漫画コーナーにパラパラといると程度だった。
幸哉はふぅ~と一息ついて背伸びをしたら背中がポキポキとなる。中野から頼まれた雑誌を出しておこうとレジの中には入っていく。
予約商品をまとめてある棚を探がす。目当てのものが見つかり店内に目を向けると桜池高校の制服の集団がいた。さっきまではいなかったなぁ~と思いながら挨拶をする。
「いらっしゃいま…せ…」と言いかけた言葉は最後まで言うことが出来なかった。
その集団は桜池高校の弓道部員達だった。その中でも一際目立つルックスの要がいた。
幸哉は今の今まで忘れていた。
レジの中で見つけてしまった要の切れ長の瞳やサラサラの髪、程よい肩幅などから目が離せずにいた。要は幸哉に気付かずに奥へと部員達と話しながら進んでいった。
ぼぉーっとつったったままの幸哉の前に本を買うためにお客が立ってまっている。
お客は「あの。」と言いかけた。その時呆けている幸哉に気付いたイチが急いでレジに入る。
イチに小突かれて後ろに追いやられながら我に帰る。
「申し訳ございません。1点ですね。690円になります。」

幸哉の代わりにイチはテキパキと処理していく。

「310円のお返しです。ありがとうございました。」

お客の姿が見えなくなったのを確認すると、振り返り立ち尽くしている幸哉の頭に鉄拳チョップを
お見舞いする。幸哉はへこみながらイチの顔を見上げる。その瞳はウルウルと艶めいていた。
イチはなんか自分が悪いことをした気になってしまう。とは言えやはり先輩としてさっきの態度は許しがたいものだった。

「ボーッとすんな。たっく。今日はもう商品の補充に回れ。」
イチはふぅ~っと息をはく。幸哉は、「はい。」とだけ答えた。
イチに言われたとおり商品を補充する為に倉庫から山と積み上げ運んでいた。
ところどころ混んでいる店内を人を縫うように進んでいた。ところが悪い事は重なるもので人がいたのに気付かずそのまま突進してしまった。
気が着いた時にはよけきれずバランスをくずしてしまった。
なるべく本を床にばら撒かないように気をつけていたがとどのつまり自分が先にころんでしまった。
派手な音を立てて本がばらばらと散らばる。「いててぇ」といいながら幸哉は打ってしまった自分のお尻をさすっていた。
お客達は店員がこけた事故を遠巻きにみていた。
その騒ぎの中人垣をぬって躍り出た人影があった。要だ。
尻餅をついている幸哉に手を差し伸べる。幸哉はデジャヴだ。と思いながら差し出された手を少
し躊躇いながら取った。
幸哉は助け起こされて両手でパタパタとお尻のあたりをはたく。要は散乱した本をしゃがみこみ拾いあげる。幸哉も慌てて拾い始める。

「涼川・・・ありがとう。」

要の顔を見る事は出来なかったが今言える感謝の気持ちを幸哉は口にした。

要の態度はやっぱり相変わらず高飛車だった。

「どういたしまして。」

それでも要は最後の本を拾い終わるまで手伝っていた。
騒ぎを聞きつけたイチが来た時にはもうあらかた拾い終わりお客も自分の目的を果たすためにばらばらとちっていった。

イチは要に丁寧にお礼をのべる。

「申し訳ございません。手伝っていただいてありがとうございました。」

深々と頭をさげた。

「いえ。たいした事はしてませんから。」

要は幸哉の方をみる。一瞬目が合うがすぐに幸哉は逸らしてしまった。
幸哉はそのまま頭を下げる。

要はじゃ、と言って自分の本を探しに文庫コーナーへ足を向ける。
一緒に来ていた部活の仲間は各々目的の物を手に入れ、じゃあなーとか、またな、といいながら本屋から出て行った。

要は部員達を見送りながら自分が手にした文庫本に熱中していた。
幸哉は倉庫から補充していた。

まだ本を読んでいる要を遠巻きに見ながら幸哉は仕事をこなしていた。気がつくと目が要を探している。

同じ場所で要を見つけると安心したようにまた仕事をこなす。そしてまた・・・。

そんな事を繰り返していたらいつしか自然に要を目で追っていた。

何か要を見ていないといけないような気持ちになっていた。
繋がれた手の温もりがボディーブローの様に効いてきていた。

幸哉はしげしげと繋いだ手を眺める。イチは幸哉の側を通りすぎながら声をかける。

「大野、時間。」

「あっ、はい。」

いつの間にかバイトの上がり時間になっていた。

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