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壁に押さえつけられ、体の自由が奪われている状態に頭が真っ白になっていた。
その上、『俺と付き合えよ』と告白までされて何を考えたらいいのからわからなかった。
答えよりも先に体が動いていた。
腕を振りほどこうとばたつかせるが一行に緩む気配がない。
それどころか押さえ込んでいる腕に一層力がこもる。要は幸哉の耳元に唇を寄せる。
息がかかり幸哉は目を力いっぱいつぶり顔を背ける。
要はその様子を愛おしむようにさらに体を密着させた。
制服ごしに要の体温がじわりと侵食してくる。
そして、さらに迫る。
「付き合うって言わないと、キスするよ。」
幸哉は目を見開きそむけていた顔を要に向けた。その批判めいた瞳はさらに要を煽る。 その瞳を見つめながら唇を重ねようとした。
幸哉は瞳を再びギュッととじた。
「わかったよ!!付き合うよ!付き合えばいいんだろ!!」
幸哉はなかばやけくそ気味に叫んだ。要の腕はそれでも緩む事はなかった。
「それは残念。」
いいながら唇を少しずらし頬にふれた。要の柔らかい感触を感じた。
瞬間幸哉に自由が戻って来た。
幸哉はなんでこんな事になっているのか皆目検討もつかない。
要の切れ長の鋭い瞳は幸哉の瞳をじっと見つめたままだ。
要は幸哉から離れ自分の鞄を持ちながら幸哉をみる。
「キス出来なくて残念。」
踵を返しゆっくりと教室をでていく。
一人残された幸哉は壁にもたれながらその場にずるずるとへたりこんだ。
要に掴まれていた手首の辺りがジンジンとうずいている。
その疼きを感じるたびに現実だった事を思い知る。
幸哉の心臓はドキンドキンと大きく波打つ。
その音だけが誰もいない教室に響いているように感じた。
のらりと立ち上がり散らかった教科書等を拾い上げ鞄にしまった。
その教科書の上に雫が落ちじわっと広がっていく。
後から後から溢れる涙は止めることが出来なかった。
何故涙がでてくるのかわからなかった。と同時に理不尽な思いを味合わされた心が
痛んだ。
要は本当に自分の事が好きなんだろうか?それともいつものちょかいの続きなんだろうか?
悩めば悩むほどわからなくなっていく幸哉だった。
鞄にしまいかけた携帯がブルブルと震えた。
着歴をみれば見知らぬアドレスだ。
件名に目をやると『涼川』と書かれていた。
たちまち幸哉の気持ちが揺れ動く。
本文を開くとそこには一行だけ書かれていた。
『090-XXXX-XXXX』
誰にも教えないと言っていた要の携帯番号だ。
何よりもそれは要が見せた唯一の誠意だった。
幸哉の高ぶった感情は大粒の涙となり頬を伝った。
幸哉はやっと息が出来た気がした。
気付くと震える手で要の電話番号とアドレスを登録した。
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日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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