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穏やかな5月のさわやかな陽気とはうらはらに予測不能の事態が幸哉を待っていた。
6時限の終了のチャイムがなり担当教科の先生と入れ替わりに担任が入りホームルームが始まった。
伝達事項を伝え終わった担任はとっとと切り上げた。
「本日は終了。気をつけて帰れよ。」
担任の号令と共にホームルームが終了し、教室から生徒達が廊下へと出て行く。
「じゃ、大野、今日よろしくな!待ち合わせはそうだな・・・。桜池公園の反対側の小さい噴水があるじゃん?しってか?」
幸哉はうなずく。
「そこで待ち合わせようぜ。俺んちそこの近くだからよ。連絡くれな。よっしゃ!部活!」
とぅ!と飛び跳ねるまねをして大野の背中を叩いて教室を飛び出して行った。途中2、3個の机に激突し女子に怒られていた。
「昼飯もっと高いのにすればよかった。」
ぶつぶつ文句を言っていると要がポツリと釘をさした。
「相変わらずだね。大野は。」
要のあきれた物言いにだいぶ慣れてはいたがそれでもつっかからずにはいられない。
「どうせ俺はお人よしですよ。」
ムカムカしながら幸哉は机の中の物を乱暴に鞄に移し変える。
要とは何故かあのままこんな感じだ。
帆布で作られた肩がけの鞄は幸哉のお気に入りで毎日持ち歩いていた。
たくさん入る上に丈夫だ。ただ難点があり少し乱暴に振り回したりすると中身が
飛び出す事がある。過去何度となく幸哉は鞄の中身をぶちまけた実績がある。
要とのやりとりで少し頭に血が上った幸哉は乱暴に鞄を背負った。
その瞬間肩がけの紐の部分が椅子に引っかかり、派手な音をたたてぶちまける羽目になった。
残っていた生徒達はそんな様子を横目で眺め笑いながら教室を後にする。
「はぁ~・・・・やっちまった。」
幸哉は散乱した教科書やらノート、携帯を拾う。
要はそんな様子を眺め楽しんでいたが、自分の足元にも筆箱の中身が飛んできたのに
気付く。
それを拾おうと膝を折り曲げた。ちょうど同じものを幸哉も拾おうと四つんばいになり手をのばした。要と視線があう。
二人の顔の距離はこぶし一つ分しかなかった。
その瞬間幸哉は驚いて後ろにひっくり返った。教室中にガタガタと響き渡る。
思いっきり椅子のカドに頭をイヤと言うほどぶつけた幸哉は「いってぇーーー!」と
いいながら頭をさすった。
要はありありと冷たい視線を幸哉に注いでいた。
大きなため息を一つついて要は立ち上がる。そして幸哉の前に手を差し出した。
「大丈夫?」
幸哉は要の行動に驚きの視線を向ける。
「どうしたんだよ。やけに優しいじゃん。」
一瞥の視線を投げる。
「別に…。ほら。」
といって差し出した長い指先を上下させる。
幸哉はその手を少し躊躇しながらつかんだ。幸哉は握られた要の手の大きさに驚いた。それ以上に外見からはわからないほどの腕力を感じた。
幸哉は軽々と立ち上がることができた。要に握られた手を離すのが躊躇われた。
要がみせた少しの優しさを感じていたかったからかもしれない。
気恥ずかしさから少し目線をはずす。
「ありがとう。」
といいながら握られた手を離そうとした。
その瞬間、グイッと要の方へ引き寄せられた。引き寄せられたその反動で要は幸哉と
自分の位置を変える。
幸哉は教室の壁に押し付けられる。鈍い音がして幸哉の背中がぶつかる。
握られている幸哉の片方の腕は頭上近くに挙げられ要の細く長い指ががっちりと押し
付けていた。
もう片方は腰の辺りで要の腕で力ずくで押さえ込まれている。
ぐっと近づいた唇は息がかかるほどの距離だ。目と鼻先が触れてしまうほどに。
いつもとは明らかに違う微熱を感じさせる要の瞳は艶っぽく潤んでいた。
「俺と付き合えよ。」

日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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