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大桜の元で二人は荒い呼吸を整えていた。要は幸哉を抱いたまま温もりを味わっていた。
次の瞬間要は何かを思い出したかのようにがばっと跳ね起きた。
「要?」
幸哉は突然背中の温かさが失われ外気にさらされた事でここが外だという事を認識する。
「幸!早く服を着ろ!」
「何?どうした?」
せかされてなんとなく何んだわからないまま服を手にした。とろとろと着替えていると要の視線を感じた。そこで幸哉は思い出した。一番聞かないといけない事を。
「要、それよりあの女の人は誰なんだよ!」
要は幸哉の肩を抱きながら鋭くみつめた。
「姉だ。」
「ウソ…。だって腕組んで、恋人みたいだった・・・。」
幸哉は俄かに信じられなかった。
要は下に落ちたジーパンに足を通し次いでTシャツをかぶりながら「ウソじゃない。」といった。
俄かに信じられない幸哉は納得したようなしないようなきもちでズボンをはきワイシャツを着込んだ。先に着替え終わった要は着替え途中の幸哉の背中越しに抱きしめてきた。
「な、何?」
「幸、俺、中出ししたから後でちゃんとしておけ。本当は俺がやんなきゃだめだけど、できるか?」
幸哉は顔を赤らめコクンと頷いた。
「ごめんな。ガマンできなかった。」
要は抱きしめている腕に力を込める。
「お姉さんてほんと?」
幸哉は確かめるように小声できく。
「本当だ。」
少し体を離して幸哉の瞳を見つめる。
「だいたい、お前がいるのにどうして女を相手にしなくちゃいけないんだ?」
より顔を近づけて視線を合わせる。
「そんなことより、いつ俺と望が一緒にいる所を見たんだ?」
「今朝…。」
「今日の朝?なんで?」
少し膨れ面になる。
「今日、早く家をでちゃったから要の家ってどこだろと思って探してたらたまたま要と…お姉さんを見かけて、それで…」
「そうか」
「う・・・うん。」
要は愛しさをこめて抱きしめる。
「つらい思いをさせた。ごめん。」
首を横にふる。優しく囁かれて幸哉の瞳は涙で潤んだ。ごちゃごちゃ悩んでいた気持ちはとうにどこかへ消え今は要に抱かれた心地よさだけが残っていた。
「望がファミレスでまってる。行こう。」
幸哉の手を取って歩き始めた要はふと立ち止まり幸哉を振り返った。
「幸、あのバイトの奴と何で一緒にいたんだよ。」
幸哉は要の手を握り締めながら上目遣いで見つめた。
「俺が要の事でぐちゃぐちゃになってたから相談に乗ってくれてたんだ。」
そーいえば、と幸哉が付け加えた。
「イチ先輩、お姉さんのこと知ってたみたいだけど、知り合いなのかな?」
首をかしげながら幸哉は要を見上げた。その瞬間要は幸哉の手をはずして走り出した。
「走るぞ!」
「ていうかもう走ってるじゃん!!」
桜池公園の中を砂利を蹴飛ばしながら二人は走っていった。
ファミレスについた時にはもうイチの姿はなかった。望はソファーに腰掛けてスペシャルストロベリーパフェを頬張っていた。
扉が開いた音に気付いて振り向いた望は元気に手を振っていた。
要はイチがいないことを確認しスタスタと望の前の席についた。その後に続くように幸哉も席に着く。
「望、紹介するよ。こいつ大野幸哉。」
望はにっこり満点笑顔で幸哉を見つめた。
「幸哉君。初めまして。要の姉の望です。よろしくね!」
といって右手を差し出した。幸哉は気後れしながらも右手を差し出した。
握手なんて久しぶりだ。繋いだ望みの手はふっくらとして女性の手なんだ。と漠然と思った。
「大野幸哉です。そこの本屋でバイトしてます。」
瞬間、望はパンッと両手を合わせて目を輝かせた。
「そうなんだ!じゃ、イチ君と知り合いなのは当たり前なんだね!」
幸哉は要の顔色を伺う。案の定額に青筋が浮かび上がっている上に眉がつりあがっていた。ここは穏便に。幸哉の気持ちはドキドキしながら答えを探していた。
「えぇ~。まぁ~。そうですね。で、あの、イチ先輩は?」
望はすこしがっかりした表情で答える。
「あのね、なんか急ぎの用事を思い出したとかでハンバーグ食べるだけ食べて帰っちゃった。私はヨウちゃん待ってなきゃいけなかったから。」
とウィンクをして見せた。
「望、そろそろ帰らないと。」
要は幸哉にこれ以上、長居をさせる訳にはいかなかった。望は少し剥れてみせる。
「剥れてもだめだ。」
望の文句に対抗するかのように幸哉を促した。
「望、俺ら一応高校生。だから早く帰んなきゃ。」
そんなこと本当は微塵も思っていない要だ。
「そっか。未成年つれまわしたら怒られちゃう。」
といいながら望は席をたった。
支払いを済ませ桜池公園を抜けて反対側の通りに抜け住宅外に抜ける。
「じゃ、俺こっちなんで。お姉さんおやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
「幸哉。」
呼び止められて振り返った。
「望、ちょっと待っててな。」
「うん。」
要は幸哉へ近づいてきた。
「な、なに?」
腰に手をあて体をあててきた。
「体、大丈夫か?」
体の熱が上がる。
「う、うん。」
「そっか。手伝ってやれなくてごめんな。」
「ありがとう。」
本当はギュッってしたいと思った幸哉だが望がいる手前それは避けた。
ところが要は予想に反して腰にしがみついてきた。
「ちょ、ちょっと、要。お姉さん見てるよ。」
「平気。知ってるし。俺の事。」
「エッーーー…!」
途中で手で口をふさがれた
「近所迷惑。」
こくこくと顔を縦に振る。
「それから、忠告。」
さらに縦に振る。
「何かあったら必ず俺に言え。一人で悩むな。」
いいな?といっておでこにキスをする。
「うん。」
幸哉の目に熱が帯びる。
「そんな目、するな…。離れられなくなる…。」
そして頬にキスをして腕を離し、小走りに望のそばへ走っていった。
「幸哉くぅ~ん!カワイイ!お休みぃ~!」
望はあまり近所迷惑にならない程度の声で大きく手を振って要と歩いていった。幸哉はそんな二人の背中を消えるまで見続けていた。
望は要の顔を覗き込んだ。
「ヨウちゃん。嬉しそう!」
緩む口元を手で押さえながらそっぽを向く。
「最近機嫌が良かったのは、ユキヤ君のおかげだったんだね。」
後ろに手を組みながらぴょこっと要の前に飛び出した。満面の笑みで微笑む。
「よかったね!」
要はこの望に笑顔が大好きだ。心の氷が解けていく。幸哉に感じた愛しい感情と望への愛情はまったく違うことを認識した。
―俺は幸哉が好きだ。
分厚く立ち込めていた雲は要に心の中のように少しずつ薄くなりうっすらと月が影を表していった。まるで要の心をはらすかのように。
翌日、晴れ渡った空を仰ぎ見ればそこには青々と澄み切った気持ちのいい空が澄み渡っていた。
その空をちぎったような晴れ晴れとした4人の生徒がいた。
一人は好きな人を見つけられた少年、
一人はようやく前に進み出せた少年、
一人は愛情を手に入れた少年、
一人は大切な人を手に入れた少年。
それぞれの思いはやっと歩き出した最初の一歩だ。
「幸哉。」
校門をとぼとぼと歩く幸哉に後ろから声が追いついてくる。振り向かなくても幸哉にはわかる。
「要、おはよ。」
追いついてきた要に満面の笑顔で答える。
「おはよう。」
幸哉は要の傍をつかず離れず歩いていく。そんな幸哉を本当に愛しいと思った。
「幸哉。」
「ん?」
横を仰ぎ見る。そこには静かに幸哉を見守る視線があった。
「寝ても覚めても、お前だけだ。」
満面の満点笑顔で答える。
「俺もだよ。要。」
『寝ても覚めても』 Fin
寝ても覚めても 感謝!感謝!感謝! ~あとがき へGO!
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恋愛LEVEL5 恋が愛に変わる時 1 ヘGO!
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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