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イチは幸哉のそんな様子を伺い見ていた。
何かあの二人の間にはある。と感じ取っていた。イチの勘は結構あたる。
空気を察知するのがうまいのか目ざといのかわからないが二人の間の何かを感じ取っていたのは確かだった。
幸哉はあがりと同時に店内を一回りしたが要の姿はもうどこにもなかった。いつの間にか帰ってしまった様だ。
何か物足りなさを感じながらスタッフルームへと下がっていった。
タイムカードをおして他のスタッフに挨拶をする。これからバイトに入る人たちだ。
幸哉と入れ違いで入る人たちなのであまり接点はないが時々見かける。挨拶をしながら店内にむかって行った。
静まり返ったスタッフルームは幸哉の大きなため息が響いた。
今日だけで3年分疲れたとおもっていた。
これから中野と会うのかと思うと億劫で仕方なかった。エプロンをロッカーにしまい変わりに制服を取り出す。
袖を通している最中にガバッと押さえ込まれた。幸哉はまたか、と思いながら冷ややかな声でいう。
「なんすか?イチ先輩。」
イチはバレたか。といいながら腕を離す。パイプ椅子に腰掛けながら灰皿を引き寄せる。
店長の机の引き出しから勝手にタバコを取り出し「いただきます。」と小声でいって火をつけた。
噴出した煙はゆっくりと天井に立ち上っていく。
「なぁ、大野。」
幸哉は制服のボタンを留めながら「なんですか?」と答える。
イチはタバコを吸い込み紫煙をくゆらす。頬杖をつきながら確信をついてきた。
「泣き顔の原因、さっき本を拾ってくれたヤツ?」
幸哉の手がとまる。ごまかそうと必死に何かを考えるが頭の中が真っ白だ。
イチは自分の勘が当たっていた事に確信を得た。
「アイツと付き合ってんの?」
イチのこの問いには素早く反応した。
「付き合ってません!」
必要以上に力がこもる。
「なんだそれ。気になってます。って言ってる様なもんじゃん。」幸哉にわざと聞こえるように独り言めいた。
「すいません。俺、用事あるんでこれで帰ります。」
幸哉はイチの言葉は聞こえなかったフリをしてロッカーを閉めた。
幸哉はうなだれながらイチの顔を最後までみずにテーブルとロッカーの隙間を抜けてドアにむかった。イチは灰皿に灰をポンポンと落とす。
上っていく煙りを見ながらボソッとつぶやく。
「アイツにあんまり深入りしない方がいいと思うぞ。」
スタッフルームのノブに手をかけた幸哉は一瞬とまった。ゆっくりとノブを回し廊下にでる。
「関係ないですから。俺…。お先です。」
中からひどくなげやりな「おつかれ~」が聞こえた。
イチは吸い終わったタバコを消しながら、やれやれと大きなため息をついた。
ガシガシと後頭部をかき、自分の右耳のピアスを指で弾いた。
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日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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