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「まぁ~、驚くのも無理は無いわな。大体俺、高校の時からあそこでバイトしてるのおかしいと思わない?他にもいろいろあんのにさ。」
頭をぽりぽりかきながら照れたように言う。
「かれこれ4年の付き合いになるわけなんだな。」
いや~、まいった。と言いつつもうれしそうなイチだ。
「イチ先輩。」
「何?」
「なんでもありません。」
なんだか幸哉も嬉しくなってしまった。
「気持ち悪いヤツだな。でも、まっ、俺のカミングアウトで仲間がいる事がわかってうれしいだろうが。」
へへん。と言いながら腕を組む。幸哉としてみれば男を好きな自分に何とも言えない気持ちもあったが話を聞いて、なんだ。と思った。別に男を好きでもいいんだと。
「大野。」
真顔になったイチは幸哉の目を見つめた。
「自分の気持ちが一番大切だって事、わすれるな。」
この一言に幸哉はハッとなる。
「たまにはいい事を言うんだ俺も。」
これさえなければと幸哉は思う。
「イチ先輩。」
「何だ?」
「ありがとうございます。おごるのは痛いけど。」
「ばぁーか。早く食べちゃえよ。」
そうですね。と言いながら幸哉はハンバーグを口に運んだ。生ぬるい温度をかみ締めながら味わう。
食べ始めたら空腹だった事を思い出した。勢いよく口に運んでいく。
イチはすっかり空になったお皿を端によせて、幸哉の食べっぷりを見ていた。
「お前、よっぽど腹へってたんだな。今まで食べないでよく我慢できたな。」
幸哉は口に一杯詰め込みながらイチを見た。口の中を空にする。
「体育の後、病院いってそこから全力疾走して、バイトしてイチ先輩の衝撃的な話を聞かされたら、喉も通りませんよ。」
そういいながらも気になることがあることを思い出した。耳の端に残ってくすぶっていたものだ。
飲みかけのドリンクを飲み干した。
「先輩。それよりさっきの話で聞きたいことがあるんですけど。」
イチは空になったグラスを片手に立ち上がるところだった。
「何?」
「ドリンクですか?俺のもお願いしていいですか?話は戻ってからでいいです。」
「いいよ。何のむ?」
「じゃ、アイスウーロン茶を。」
わかった。といってドリンクコーナーへ向かった。
残りのハンバーグとご飯と交互に食べながら要の事を思い出した。あれから随分時間がたってしまった。―ちゃんと家にたどり着いただろうか。
『メール、よこせ』といわれた事も思い出した。メールだけでも打とうと思って携帯をがさごそと探す。
そこへなみなみと注いだウーロン茶とコーラをもってイチが戻ってきた。
「で、何?聞きたいことって。」
幸哉は鞄から目を上げイチに視線を戻した。
「あっ、ありがとうございます。で、聞きたいことはですね・・・、要の事なんですけど。」
何か探っているようで嫌な気持ちになるが万が一という事も考えられる。ちょっとひっかかった言葉がこんなにも気になってしまうのはやはり要の事だからなんだと思い話を続けた。
「何か知ってるような言い方しでしたよねぇ。普通男が好きだってこと見た目じゃわかんないと思うんですよ。だから何で知ってるのかなって…。思ったんですけど…。」
―こいつ訳わかってないのに確信ついてくることあるよな。
イチは考えているように顎に手をあててすりすりと擦っている。少し間をおいて言う。
「涼川を直接知ってるわけじゃない。あっ、誤解の無いように言っとくけど別に関係ないからな。俺は。」
その言葉をだけが聴きたかった。案の定、安堵の表情がでてしまう幸哉だった。
イチはその表情を見逃さない。
―結局のところオレと涼川がなんか関係あったのか気になったってところか。じゃ、ここで話すことじゃねーな。
イチはソファーに寄りかかりながら顎を擦る。
「安心したか?」
ニヤニヤ笑いながらジュースを飲む。
見透かされた幸哉は「そんなことないです。」といいながら残りのご飯をバクバクと平らげた。
「大野はすぐ顔に出るからな。ポーカーフェイスとか出来ないだろ。」
とさらにニヤニヤと笑う。
イチと幸哉はしばらく雑談をした。ファミレスを出たときには10時近くになっていた。
幸哉は軽くなった財布を鞄にしまう。
「大野、今日はご馳走様。じゃ、またな。」
「もう、奢りませんから!」
むくれて言った幸哉にイチは「じゃーな」と手をぶんぶん振りながら遠ざかっていった。
結局、幸哉は要とイチの間には何もなかった事に安堵したのだ。

日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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