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智弘は後悔した。
まさかあんなに楽しいとは思っても見なかった。
巨大水槽には鰯の大群、クラゲの浮遊感に癒されて、最後はイルカと握手までした始末だ。
水族館を出る頃には興奮しきっていた。
「イルカすげー!!!」とか「クラゲ綺麗だったよな!!」とものすごい喜びようだった。
幸哉は思った以上の歓喜にだいぶ引き気味だったが、智弘がいつもの智弘に少しでも戻れたなら嬉しかった。
水族館の外にでるとやけに波の音が聞こえてきた。
太陽は今日の仕事はお終いだと言わんばかりに最後の仕事をこなしていた。
斑目海岸は犬の散歩をする人、部活の練習をする人、様々だ。大いに水族館を堪能した二人は河岸に降り立った。
海岸は水族館の裏の散歩道から階段が海岸まで延びていた。その一角に並んで座る。
ペットボトルのお茶を一口に含み飲み干した。
「大野。今日はサンキュ。」
智弘は隣で海を眺めていた幸哉にお礼を言った。
「まぁ、気にすんな。」
視線を智弘へ向ける。オレンジに染まった空気は二人を染め上げていた。
「なぁ…。」
智弘は足元の砂をいじりながら話しかけた。
「ん?」
両膝にのせた腕にペットボトルをかけながら智弘に返事をする。
「俺さ、惚れた奴に強引に迫っちまった…。」
「…うん。」
「見てらんなくてさ。そいつには好きなやつがいてさ、告白できずに傷ついて、そのことでも自分を傷つけてさ…。」
後ろで腕をついて体を支えながらオレンジに染まった海を眺めた。
「それでも俺はやっぱりそいつが忘れらんなくてさ。なんかこれって恋なんだよな…。きっと。」
太陽がそろりそろりと海に近づいていた。昼間の白い月はだんだんと黄色味がかっていく。
遠くを見つめていた幸哉はゆっくりと視線を智弘へ向けた。
「中野はその人のこと本当に好きなんだね。」
智弘は自分の顔が見る見るうちに赤くなっていくのがわかった。
「こういう話俺、苦手なんだけどさ…。」伏目がちにいう。
「でもな、俺、好きになるってこういう気持ちなんだってわかった。」
相変わらず顔は赤いままだが、話した言葉に決心の色が見えていた。
「俺、やっぱり諦めたくない。」
智弘はもうほとんど沈んでしまった太陽を見ながら力強く言葉にしていた。
幸哉は「うん。」とうなずいた。
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日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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