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「・・・そうだよ。中野だよ。なんでお前に言わなきゃなんないんだよ。」
どんどん抗えなくなってくる。要は幸哉の前に膝を着く。夜露に濡れた地面は膝からじわりと伝わってくる。
要は幸哉の顔を下から見上げる。冴え冴えとした要の瞳は氷のように冷たく幸哉に突き刺さる。
「幸哉、誰に向かってそんな口を聞くんだ?」
見つめられた幸哉は要の呪縛に囚われていく。無言のままうつむくことしか出来ない。
「か、要、なんで、こんな事するんだ・・・。」
搾り出された気持ちは今にも消えてなくなってしまいそうなはかなげな声となった。
要の手は幸哉の顎のラインを包み込む。冷たい両手は幸哉の体温を奪っていく。
「幸哉、忘れるな。お前は俺の物だ。抗うな。」
満月の明かりは要を浮かび上がらせる。黒い羽の天使に射ぬかれた幸哉の感情はそのまま堕ちていく。
幸哉の心は囚われていた。もう逸らす事は出来なかった。
小刻みに震える幸哉の体を黒い羽で包み込む。
妖艶な薄い冷たい唇で、捕らえた幸哉の耳元にくちづける。そのまま頬にくちづけ、首筋に這っていく。
ワイシャツのネクタイを揺るめ、襟元のボタンを一つはずす。露わになった鎖骨にくちづけ、反対側の鎖骨にくちづけ、首筋から顎のラインにくちづけ、最後は耳元にくちづけ、刻印をつけた。そのまま幸哉の肩でうずまっていた。
薄く開けられた瞳の隙間からは月の明かりで要の艶めく首筋に疼きを感じた。その甘美な疼きは脳髄を麻痺させていく。息使いが荒くなり自然とうでは要の背中に回されていく。
要はその瞬間を待ちわびていたかの様に口元を歪ませた。ゆっくりと唇を幸哉の唇へと這わせる。
紙一重の瞬間、幸哉の携帯が鳴り響く。
ビクッと体を震わせ幸哉は要の腕から逃れようとした。鳴り止まない携帯を気にする幸哉に要は有無を言わさない瞳を向ける。
「出るなよ。」
以前なり続ける携帯。響き渡る電子音は催促するように鳴りつづけた。
幸哉は力の抜けた体を無理矢理ひねり携帯にでる。
振りほどかれた要は立ち上がり膝についた汚れをはらっていた。そのまま一瞥し桜池の方へ歩きだした。
なぜか慌てたのは幸哉だった。携帯をもちながら幸哉もベンチから立ち上がる。
電話の向こうのからはがさつな中野の声が聞こえてきた。
『何してんだよ!おっせーよ!』
幸哉はその声で現実を認識する。少し震えた声で答えた。
「わ、わりぃ・・・。もうすぐ着くから。」
『しゃーない。途中まで行くよ!じゃ。』
といって電話を切ってしまった。
要はすでに下にたどり着き、そのまま桜池のほとりを歩き闇にまぎれてしまった。
取り残された幸哉はなぜかいたたまれない気持ちに支配されていた。
日々妄想中!胸キュンな話を書いていけたらいいなって
思ってます。
末永いお付き合いを・・・。
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